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YIIKやりました【出来の悪いB級クソSFだが謎の魅力がある。ゲームとしてはC級以下の欠陥品】

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Ackk Studio開発のダウンロード専用ゲーム、YIKK:ポストモダンRPGです。







かの有名な村上春樹や、MOTHER2をリスペクトされて作られたゲームです。MOTHER2いつも海外にリスペクトされてんな

この偉大な二つをリスペクト先として捉えているのならば、それはそれは面白いゲームを作ってきたんだろうなぁ……クソゲーでした

ある日、敵とエンカウントしニンテンドーポイントを握らされ「YIIKを買え」と脅されました……


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こいつはただのクソゲーじゃありません。ありとあらゆる面白くなるであろう要素を注ぎ込んだ結果、何から何まで面白くなくなるように丁寧に料理された芸術的なクソゲーです。
並大抵の腕を持つクリエイターでは今から説明する様々な面白題材を使ってクソゲーを作るのは困難だと思います。

それはそれとしてYIIKという作品、名前だけは知ってる人は結構いそうですね。
なんて言ってもあのVA-11 Hall-Aとコラボしたらしいですからね。
それ故にYIIKの被害者は多かったという……

・メインシナリオ
舞台は1999年のアメリカ、いわゆるタイトルの通りY2K問題の時期である。
留年しつつも大学を卒業した主人公アレックスが久しぶりに故郷の街に帰り、ふと見かけた猫に買い物メモを取られてたので追いかけると謎の少女サミーと出合う。ぽつぽつ会話をしながら帰ろうとすると、謎の生命体にサミーが連れ攫われてしまいます。

アレックスは攫われたサミーを探し出すべく、道中奇妙な仲間たちと出合いながら宇宙の秘密を知ったり世界の秘密を知ったりパラレルワールドの存在を知ったり超次元的な世界に関しての知識を得たり、最終的に世界の終わりに立ち向かったりとまぁ色々あります。


シナリオの全体的な流れとしては特に矛盾らしい矛盾はなく、日本語翻訳が滅茶苦茶に優秀なため、とても読みやすく面白い文章。




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問題は、主人公アレックスが事ある毎に村上春樹よろしく長ったるくクドクドしい中身の無い独白を何十メッセージ分も垂れ流してくるという点。
文章力自体は問題はなく、独白も必要であろう場面も無くはないのですが。正直一言二言で終わるような内容の文章をそれはもう無駄に引き延ばすかのように繰り返し表現する言い回しで文字数を稼いでくるので、そういうのやりたいならサウンドノベル作っとけやと汚い文句も出て来てしまうというものです。







主人公の性格は裕福な家庭で育ったボンボンと言う事で、甘ったれで気に入らない事や分からない事があると癇癪を起したりとまるで実体験を元にしているかのようなリアルなヤツなので不快とか嫌なヤツとかは感じないんですけど、なんかヤダ……となります。
仲間からの評価も概ねこんな感じですけど、まぁ最終的にキチンと人間的に成長するので正直憎めない主人公です。25過ぎにしては老け顔すぎですけど。


そんなアレックスがサミーを探す過程で色々な展開があるわけですけど、これがまた何もかも中途半端なんですね。

例えば序盤、仲間の一人であるローリーという青年の妹がイジメられたのち自殺してしまったという話があるのですが
その妹が残し、隠した手紙の場所で次々と事故などで人が死んだという怪奇な話があったり。
今度は別の仲間の弟が失踪したという話があったり。
更には完全に他殺としか思えない事件があったりして、それに対してメディアはこの事件をキチンと取り上げてくれなかった……などというマスコミ批判の関連の話がそこそこあるのですが、これらの重要そうな伏線は本筋にて一切回収されません

消えた妹も消えた弟も他殺で殺された人も、テキストだけでパパーっと済まされて意味深なまま中途半端で終わります。


他にはいろいろな事を知っているヒロインの一人が敵の正体や不思議な現象について教えてくれたり、
そのヒロインが実はパラレルワールドからやってきたことが判明し、その世界で何があってどうやってアレックスがいた世界にやってきたのかという説明をしてくれるのですが。徹頭徹尾テキストオンリーで全て説明してきます。ゲームである意味は?

長ったらしい文章を、ゲーム内の専門用語を並べてほぼ静止画の中淡々と説明していくので内容が全然頭に入ってこない。
この分かりにくい説明の仕方、まるでFF13を更に分かりにくくしたような感じですね。

いや別に私はFF13を馬鹿にしようという意図はないです。というのもこのYIIK、事ある毎にFF13をかなり直接的に罵倒するシーンが多いんです。いやお前だけはFF13の事ぜったい馬鹿に出来ないぞと

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これらの本筋に関係ない話は当然のように投げっぱなしでお話は進むんですけど、何を思ったのか本筋に関係のある事柄まで殆どブン投げて終わります

何故こうしたのか、とかなぜ敵はこんな行動を取ったのか。意味深に疑問視するシーンはあるのですが特に明確な答えを出さないまま中途半端に終わります。

ちょくちょくヒロインたちのマインドダンジョン……つまりは精神世界に入ってそこで色々な過去を見たりするのですが、これらも本筋に関係なかったと思います。いやもしかしたらあるかもしれないんですけど、それはもう考察どころか深読みとかの域になるので

そもそもなぜY2Kさながら大晦日に世界の終わりが来るのか、


これらの事から、開発は思い付いた話をてきとうにぶち込んで、飽きたから伏線回収せずに終わらせたんじゃないかと思ってます。いやまさかそんなぁ

今までの伏線とか九割方ブン投げてそれはそれとして世界の終わりが来て終わるので、デウスエクスマキナか?とも思ってしまうほどです。いや流石に考察要素はちらほらあるのでそこまでではないんですけど、少なくとも面白いから考察のし甲斐があるとかではなく、考察しないと面白さが分からないという悪いパターンなのは褒められる部分ではないと思います。



しかし、やはり現代舞台(と言っても1999年だけど)でSFな題材を扱うという事でゲーム全体の雰囲気がとても奇妙。
演出面は決して良くはなく、お粗末と言った方がふさわしい出来なのですが。その代りに表現の仕方がとても素晴らしいと、思わずうなってしまう物が多かった。

地球外生命体がすぐ近くにいるというホラーな描写は勿論、心理描写や精神世界の観念的な表現は凄まじい。






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MOTHER2をリスペクトしたというだけあって、NPCの台詞もまた味があり面白い物が多かったのもなんやかんやで退屈しなかった理由の一つだった


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・ゲームシステム
戦闘はオーソドックスなターン性RPG……と思いきや、なんとキャラが攻撃する時や、敵から攻撃を受けるときに多種多様なQTEが挟まるという戦闘システム。

戦闘にQTEが挟まるRPGは色々ありますね、どれも面白いものばかりだった記憶があります。
YIIKはこのQTEがゲームの全てを台無しにしているといっても過言ではありません。

QTEの難易度が高く、テンポが悪く、成功しても大してダメージが伸びないという三重苦。
ダメージの計算式も謎で、序盤はどれだけQTEを頑張ってもカスみたいなダメージしか出ない。

と思いきや途中からレベル依存ダメージの壊れスキルが登場したり、アイテムを投げるだけで四桁くらいのダメージが出たりしてどんな敵だろうと一撃で粉砕するゲームへと早変わりする。

元々戦闘自体が単調で、ここにテンポの悪さが加わり苦痛なのだが中盤以降から一気に作業と化す。
何故かダンジョンなどにいるシンボルエンカウントモンスターは一度倒すと復活しないので、レベルを上げにくい本作では更にこれら二つの壊れスキルに頼り切りになるだろう。

死ぬほどテンポの悪い戦闘。ここに恐ろしく悪いレスポンスが加わります。

とにかくボタンの反応が悪い。戦闘中に限らずどのシーンでもボタンがなかなか反応しない。
これにより選択を間違って時間を食う事もしばしば、極めつけにレベルアップの仕様も無駄に時間だけがかかる

レベルを上げる為には一々電話が出来る場所に向かい、主人公の精神世界へ入って、溜まった経験値を使ってちまちま主人公に伸ばすステータスを選択させ、一つ一つ長々とレベルを上げていく作業を強いられる。
たたでさえレスポンスが悪いため、ここでの作業にかなり時間をとられるのであまりレベル上げに入りたくない。


何より酷いのはアイテム画面のUI。無駄にアイテムの種類が多く、どれも大差ない回復量だというのにアイテム欄が圧迫される。
そして大量のページ数を抱えたアイテム欄から目当てのアイテムを探す作業があるのだが、なんとページスキップの機能が無い。
その為、手動で一々アイテム欄をスクロールさせて探さないといけないのだが、このスクロールもアホみたいに遅い。

何から何までプレイヤーの事を一切考えられていないシステムとUIの中遊ばねばならず、戦闘は面白くなく育成は基本無駄。
乱雑されている宝箱からは時折大金が無造作に仕込まれており、なんなら敵の体力も無駄に多くゲームバランスも雑。

雑といえばシナリオ以上に中途半端な物も多く、例えば町の人たちの台詞は章の進行によって変わったりするのだが、なんか途中から台詞が更新されなくなる。
探せば新しい事を言ってる人もいるのかもしれないが、めぼしいNPCはずっと同じようなセリフを言い続けてしまっているので、やるなら最後まで更新し続けろとなる。

更に最終章では突然ゲームがペルソナよろしく日付進行システムになり、仲間と過ごすかサブクエを一つこなすかをすると一日が終わり、ラスボスがやって来る日まで仲間たちを鍛える……という謎のパートが始まる。
結果的に育成になんの意味がなかったのはまだ良いのだが、ラスボスが来るまでの日数が一カ月くらいあり、それまでにやる事は半月程度で終わってしまう為残りはひたすらベッドで寝続け無駄に日数を重ねる作業になっていた。
日付進行システムを使うのならきちんとやる事目白押しにするくらいの事はやってほしい。


これら思い付いたシステムをぶち込むにはあまりにも開発者は飽き性で、技術も足りなかった……というだけじゃ済まない程度にゲームとしての完成度が低い。ゲームとして呼ぶのもおこがましいくらいの最低のUIだった。
せめて思い付いた物を導入するならするで、飽きてやめるならシステム丸ごとボツにするくらいのデータ削減はしようね……ゲームとしてチグハグ過ぎるからね……



なんならこのゲームはバグも多い

アイテム消失バグのような可愛いものから、進行不能バグ、壁抜けギミックを無視するバグなど。
これだけならまだいいのだが、なんとギミックとなるオブジェクトが消失しているバグというとんでもないものが存在する。

つまり、ギミックを解除するためのスイッチなどが丸々消えていたりする。ゲームを起動し直せば直るのだが、ギミックが消えている事に気付かず何時間もあるはずのギミックを探し続けているという拷問めいた時間があった。
普通は無いなんて思わないでしょ……





こんなボロクソなゲームだが、どんなゲームにも一つくらいは褒められる部分があるという物。YIIKに当たるのは何と言っても多数収録されたBGM達だろう。

フィールド、街、ダンジョンのBGMは勿論、30曲は下らないであろうたくさんの戦闘BGM。
一つ残らずとても素晴らしい曲で、BGMだけは本当に飽きる事なく楽しめた。
なんと戦闘BGMにはあのアンダーテイルでおなじみトビー・フォックスが関わっているというのだからさぁ大変。

あえて不満を言うのなら、この戦闘BGMを流す法則がボス戦以外完全にランダムらしく、メリハリがないくらい。


後はダンジョンの構造についても中々の物だった。
内装が凝っているのは勿論、ギミックも多種多様でパズル要素もほどほどに楽しく、詰むほどではないといった物ばかり。
バグさえなければかなり楽しめる。バグさえなければ……



・キャラクター批評
お久しぶりの趣味のキャラ批評、キャラの軽い設定説明をかねて離していきます

■アレックス
我らがこのゲームの主人公。妙にリアリティのある怠け者のクズです。
使う武器はレコード。えんげつりんかな?
主人公のみステータスをプレイヤーが任意で選択するのですが、明らかに上がり幅が他の仲間たちと比べて低い。
特に体力の差は凄まじく、他の仲間たちは一気に5とか10とか上がってるのに、アレックスは1とか2とかの世界で戦っている。
他のステータスは極振りすればそこそこ強くなが、体力が低いのでとにかく脆い。力のステータスはアレックスにとって死にステ。
スキルを使う為のPPとすばやさくらいしか上げる価値がないのである。

何故かというと、最初に説明したレベル依存ダメージのスキル、LPスローというものがある。
序盤に覚えるため、最初こそちょっと強い全体攻撃程度のスキルなのだが、レベル20を超えたあたりからかなり頼れるダメージに。30を超えると周りが10ダメージをちまちま出している中、100を超えるダメージを叩き出す様になる。
アレックスは素早さにボーナスが入っているようで、先制攻撃しやすく敵が動く前にLPスローをして即全滅させるフレイムピンクみたいな戦い方をする。流石主人公といった性能。


■マイケル
アレックスの近所に住む、年下の青年。アレックスの数少ない親友ポジションで人間的にもとても良い奴。
地味ーな外見をしているが、キャラクターも立っていてかなり好ましいキャラ。
ただ通常攻撃のQTEはそこそこ難易度が高く、ダメージも低い。
一応全体攻撃持ちで雑魚狩りが出来るが、LPスローと比べるとクソみたいなダメージなので正直即ベンチ入りである。


■ヴェラ
本作のヒロイン。ヴァルハラにもゲスト出演した。
パラレルワールドから来てゲームセンターで細々と日銭を稼いでいる。
元の世界ではミュージシャンをしており、日本語で曲をリリースしていた。めちゃくちゃ良い曲で死ぬかと思った。
性能としては唯一の回復魔法持ち。それだけである。
一応強力な単体攻撃スキルがあるが、消費が重いのとQTEの難易度が地獄で失敗すると外すという事もあり実用的ではない。


■ローリー
妹に先立たれたお兄ちゃん。フードなのか地毛なのかよく分からない髪型をしている。
本編中にそういう描写は一切ないのに、プラカードを武器に活動家みたいな言葉を使いながら戦う。
通常攻撃がなく、代わりに味方をかばう事が出来る特殊なキャラ。体力は心もとないが。
脆いアレックスをかばう事が出来るので重宝する



■クラウディオ
日本好きのアメリカン。萌えキャラTシャツを着ているが、自然に着こなし過ぎて指摘されるまで気付かなかった。
アニメオタクでアニメに対する情熱がある。日本に雑ーに媚びているキャラクター。
消えた弟を探している。当然見つからないが
武器は木刀。サムライの用に振り回して戦う。
素のステータスが高いので仲間になった時は少し頼りになるが、ロクなスキルを覚えない。



■ショーンディ
クラウディオの妹、サバサバしたタイプで当時幼かった事もあり、消えた弟に対してあまり思い入れがない。
スポーティな少女で、フラフープを武器に戦う。
スキルはモードチェンジ、通常攻撃にSPを消費してダメージを増加する状態にしたり、HPを消費してダメージを増加する状態にしたり、その両方を使って大ダメージを与える状態になったの出来る。
こいつを見てると、昔RPGツクールの素材を大量に残したまま壊れてエタった私のツクール動画のキャラクターを思い出すのでやめてほしい。

特殊な戦闘スタイルの彼女だが、本領は少しして覚えるアイテムスローにある。
前述の通り、これを使って武器などを投げると相手に四桁のダメージを与えられる。
どれだけ頑張ってもこのゲームではアレックスのLPスロー以外では二桁のダメージしか出ない。
アイテムをスローするだけでどんな敵でも、なんと特殊なスキルじゃないと撃退出来ない敵だろうと問答無用で一撃なので、もうキャラクターの育成が馬鹿らしくなる。

このゲームモノ投げる攻撃が強すぎるな

■エンセンシア2000
このゲームのヒロイン。プラスチック製のアンドロイド娘である。
アレックスは毎晩この少女の夢を見て、やがてバンに囚われている事を知り仲間たちとそれを捜索するのだが
なぜバンに囚われているのかとかその他もろもろ無視される(一応種明かし的な物はあるが最低系なので無かったことにする)

大剣を持ち、クッソ難易度の高いQTEを駆使して戦う。
特殊ゲージとしてENを消費しながら戦うキャラなのだが、正直マイケル並に弱い。
このヒロインと強制的にアレックスは二人旅をさせられるダンジョンもあるのだが、その頃にはLPスローが完成形になっているため、この子の出番はない。EN性のシステムもただHPとPPが共通ゲージになったというだけでただの枷でしかない


とまぁボロクソですけど、キャラクターはどれもみんな個性的でいいキャラな事は事実です。
アレックスも最終的に成長して良い奴……?になるので、普通にこいつらが楽しく遊んでてくれるだけでも私は喜ぶかもしれない。



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・総評
なんども言ったが、思い付きのように入れた伏線丸投げな話や、独りよがりに作られた戦闘システム等々、何もかも中途半端なゲーム

どれもこれもキチンと最後まで飽きずに作りきればそれぞれ面白い物に仕上がっていたんでしょうけど、導入した物全て途中で飽きて調整しないまま完成させて発売してしまったんだろうなぁ、という最悪なパターンじゃないですかね。
完成させるのが大事とは言いますが、せめて形にしてほしいです。


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ただ……なんでかは知らないけどよく分からない魅力に包まれたゲームではある事は確かです
お前は戦う戦場を間違えたんだよ、とりあえず次はサウンドノベルとか作ってくれよな頼むから




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